化学変化にともなうエネルギー

「鉄を空気中で加熱すると,酸化鉄が生成する」,「水に電気を流すと水素と酸素に分解する」など,化学反応を起こすには,熱や電気といったエネルギーを与える必要がある。また,「砂糖を燃やすと,炎をともなって熱が発生する」といったように,化学反応が起こると発熱,発光,発電といったエネルギーの放出が観察される。つまり,化学反応が起こると,エネルギーの出入りが起こる。これは,それぞれの化学物質がエネルギー(化学エネルギー)をもっているからである。通常,より複雑な構造をもつ化学物質ほど高エネルギーである

 高エネルギーの化学物質が化学反応して,低エネルギーの物質に変化すると,エネルギーは〔 放出 〕され,逆に低エネルギーの化学物質が化学反応して,高エネルギーの物質に変化すると,エネルギーは〔 吸収 〕される。

 
 

例)カイロ

 鉄 〕を酸化して〔 酸化鉄 〕にすることによって発熱させる。

(鉄と酸素のエネルギーの合計が酸化鉄のエネルギーよりも高いことを利用している)

4Fe + 3O2 → 2Fe2O3

 
 
 

例)冷却パック 

硝酸アンモニウムや尿素を〔  〕に〔 溶解 〕させることによって吸熱させる。

(硝酸アンモニウムや尿素よりもそれらの水溶液の方がエネルギーが高いことを利用している)

   硝酸アンモニウム → 硝酸アンモニウム水溶液

 
 
 

例)ホタルの発光

ホタルの体内に存在するルシフェリンが分解されると発光する。

(ルシフェリンの方がルシフェリンの分解生成物よりもエネルギーが高いことを利用している。)

 
 
 
 

例)植物の光合成

〔 二酸化炭素 〕,〔  〕が〔 光エネルギー 〕を吸収して〔 デンプン 〕やブドウ糖

と〔 酸素 〕を生成する。

(二酸化炭素と水のエネルギーの合計よりもデンプンと酸素のエネルギーの合計の方が高い。)

 6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2

 
 

例)水の電気分解

 水に電流を流すと〔 水素 〕と〔 酸素 〕に分解する。

(水素と酸素のエネルギーの合計の方が,水のエネルギーよりも高い。)

 この逆を利用して電気を得るのが〔 燃焼電池 〕である。

2H2O → 2H2 + O2