4 理想気体と実在気体h
これまで扱ってきた気体は,どんな条件(温度,圧力)でも気体として考え,ボイル・シャルルの法則や状態方程式に完全に従う仮想的な気体で,これを理想気体という。これに対して,実際に存在する気体を実在気体という。気体を理想気体として考えるためには次の2つが条件となる。
条件1 理想気体では分子自身の体積(分子の大きさ)を0としている。
理想気体:高圧にすると,気体の体積(気体が存在する空間)は0に近づく。
実在気体:高圧にしても気体の体積が0になることはない。
理想気体:高圧・低温にしても凝縮が起こらない。
実在気体:高圧・低温にすると凝縮が起こる。
☆ 実在気体は低圧,高温で理想気体に近づく
実在気体の理想気体からのずれ
気体分子1molの圧力pを横軸に,pV/RTを縦軸にとる。理想気体は,pV=nRTが成り立つので,n=1molのとき,n=pV/RT=1になる。
水素は分子量が小さいので分子間力が小さく,圧力を高くしても凝縮は起こらず,分子自身の体積(分子の大きさ)の影響より,初めからpV/RTが大きくなる。
例題
次の文を読み,下の問いに答えよ。必要があれば次の数値を用いること。気体定数R=8.31×103Pa・L/〔K・mol〕,原子量H=1.0,He=4.0,C=12,O=16
問1 (1) 分子間力 (2) 体積 (3) 大きさ(体積) 問2 c(高温ほど理想気体に近づくから)
問3 a CO2 b CH4 c He 分子量が大きいほど分子間力が大きくなり,理想気体からずれる。
問4 1.50mol (pV=nRTより,n=pV/RT=1.25/(8.3×103)=1.504≒1.50〔mol〕)