例題 次の反応で酸化された物質,還元された物質はそれぞれ何か。
(1) 2CuO + C → 2Cu + CO2 (2) Fe2O3 + 2Al → 2Fe + Al2O3
(3) CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O (4) 2H2S + O2 → 2H2O + 2S
(1) 酸化された物質C(Oと化合),還元された物質CuO(Oを失う)
(2) 酸化された物質Al(Oと化合),還元された物質Fe2O3(Oを失う)
(3) 酸化された物質CH4(Hを失う,Oと化合),還元された物質O2(Hと化合)
(4) 酸化された物質H2S(Hを失う),還元された物質O2(Hと化合)
【酸化・還元と酸化数】
単体,化合物,イオン中の各原子の酸化されている度合いを示す数値を酸化数という。酸化数は電子の授受で考えていく。電子を失ったり,受け取ったりしていない状態は,酸化数0。電子を1,2,3,・・・個失う(酸化される)と酸化数は,+1,+2,+3,…となり,電子を1,2,3,・・・個受け取ると(還元される)と酸化数は,−1,−2,−3,…となる。酸化数は次の方法で形式的に決めていく。
@ 単体(1種類の元素からなるもの)中の原子の酸化数は〔 0 〕である。
A 化合物(2種類以上の元素からなるもの)中の各原子の酸化数の総和は〔 0 〕である。
B イオンの原子の酸化数の総和はイオン全体の電荷と同じ。例)Cu2+のCuは+2
C 一般的に,化合物,イオン中の水素原子の酸化数は〔 +1 〕,酸素原子の酸化数は〔 −2 〕とする。
例題 次の単体,化合物,イオンについて,下線部の原子の酸化数を求めよ。
(1) NH3 (2) HNO3 (3) N2 (4) SO42− (5) Cr2O72− (6) H2O2
(7) CuCl2 (8) Fe(NO3)3
それぞれ下線部の原子の酸化数をxとすると,
(1) x+(+1)×3=0,x=−3 (2) (+1)+x+(−2)×3=0,x=+5 (3) 0(単体なので )
(4) x+(−2)×4=−2,x=+6 (5) x×2+(−2)×7=−2,x=+6
(6)(+1)×2+x×2=0,x=−1(この場合,計算によって求める。結果的に−2にならない場合もある)
(7) CuCl2はイオンに分けるとCu2+とCl−2つなので,+2
(8) Fe(NO3)3はイオンに分けるとFe3+とNO3−が3つなので,+3
【酸化数と酸化還元反応】
酸化数は,酸化されている度合いを表す値である。したがって,反応によって酸化数が増加した場合は酸化されている,減少した場合は還元されているということになる。また,反応の前後で酸化数の変化がない反応は,酸化還元反応ではないということになる。
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